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防災・減災 技術レポート!浜からビジョン

最前線の防災・減災技術、最先端のテクノロジー、産業界の最新トレンドを紹介します。

固定概念を突き崩す赤。魅せる美しい工場
製造業を変える次世代デジタルファクトリー

2022年01月18日

VISION「浜からビジョン」

金谷 智昭さん

ロボコム・アンド・エフエイコム株式会社 取締役

立命館大学理工学部電気電子工学科卒。1996年、産業機械、半導体、デバイスなどを扱う株式会社たけびしに入社。制御技術部において、機器制御用アプリケーション、パッケージソフト開発や工場の自動化システム開発に従事し、リーダーとして様々なプロジェクトマネジメントを行う。業務の傍ら第一種情報処理技術者、テクニカルエンジニア(ネットワーク資格)を取得。2006年、営業配属となり装置システム事業の立ち上げに携わり、自動車、半導体、食品、航空機向け自動生産ラインを中心に10年間で約60億円を売り上げる。2014年、たけびしの海外拠点(TAKEBISHI(THAILAND)CO., LTD、タイ)設立に伴い、タイの初代マネージングディレクターに就任。2018年1月より株式会社オフィスエフエイ・コムに転籍。ロボット・製造業デジタルトランスフォーメーションのコンサルティングや海外からのエンジニア育成を行う。

ロボコム・アンド・エフエイコム株式会社は2021年7月、福島ロボットテストフィールドに隣接する南相馬市復興工業団地への進出第一号として操業を開始した。日本最先端の技術力と設備を持つデジタルファクトリーは、加工部品の変種変量・短納期品、3Dプリンターでの試作加工、ロボットの半製品やファクトリー・オートメーション(FA)キットの開発、販売などを行う。同時にこれらは、事業として掲げる「ロボット・システムインテグレーター※1(以下ロボットSIer)の後方支援」「グローバル人材の育成」に直結するという。さらにロボットSIer企業が手掛ける最新デジタルトランスフォーメーション※2(以下DX)のモデルとして世界に発信しながら、美しくてスタイリッシュな魅せる工場、体感できる工場として、見学も受け入れている。「これからも日本を支えていくのは、製造業です」と、熱く語る取締役の金谷智昭さんに、これまでの取組や今後の展望などをうかがった。
※1 ロボット導入をサポートする専門業者 
※2 進化したIT技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革する概念。既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすもの

最先端のテクノロジーを集約
スケールの大きなデザイン空間

ロボコム・アンド・エフエイコム株式会社(以下、R&F)は、太平洋を臨む南相馬の広大な土地に建つ。

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして工場の屋根に太陽光発電システムを搭載

最先端テクノロジーを集約した次世代型デジタルファクトリーの機能。製造業の固定概念を突き崩すダイナミックなデザイン空間。R&Fはその両方で注目を集める。本館正面は、ガラス張り。敷地奥には、真っ赤なシャッターがひと際目を引く加工工場が控える。スケールの大きさに期待感が高まる。取材班が足を踏み入れた先で待っていたのは、手づくり感たっぷりのウェルカムボード。予期せぬ展開に思わず全員が歓声を上げた。

手書きのウェルカムボード

「こういうところにアナログを残したいと思いまして」と、話してくれたのは、金谷さん。これまでに何百社とお客様を訪問してきた中で、一番うれしかったおもてなしを参考にしたのだという。

展示場は、本気でDXに取り組みたい
お客様にとっての最適解を見つける場

通路に視線を遮るものがなく開放感にあふれる本館には、最先端のテクノロジーを間近にできる展示場「スマラボ南相馬」が併設されている。

最先端のテクノロジーを体験できる展示場「スマラボ南相馬」

R&Fは、この展示場を「最先端の設備と技術、デジタルとリアルの統合を実現し、真の全体最適化がなされた次世代型デジタルファクトリーが体感できる場」と位置付け、時間が許す限り工場と併せて見学を受け入れている。

アパレルピッキングロボットパッケージをショールームで体験できる

展示場では、出荷時の番重仕分け作業を自動化するロボットパッケージや、注文されたアパレル製品を集めるアパレルピッキングロボットパッケージ、様々な検査を実現したマルチ検査ロボットパッケージなど、R&Fが手掛ける製造業DXの一部を体験できる。

マルチ検査ロボットパッケージ

工場を丸ごとプロデュースしてほしい
想定外のオファーも舞い込む

最近は、企業だけでなく修学旅行やキャリア教育関係の申し込みもあるそうだ。さらに商談に来られたお客様から、「工場を丸ごとプロデュースしてほしい」というオファーも増えているのだとか。想定外の展開に金谷さんも驚いているそうだ。
「これができるまでは、『ロボットシステムを導入したい』『IoT※3を導入したい』というオーソドックスなオファーがほとんどでした。それが今は、『この工場を丸ごとほしいから、プロデュースしてほしい』という方もいらっしゃいます。これはシステムという話ではなく、コンサルティングの領域ですよね(笑)」
※3 様々な物がインターネットにつながること

工作機器をコーポレートカラーの赤に塗り替え白い床の上に配置。「魅せる工場」と呼ぶのにふさわしい

そこまで人をひきつけるものは何か。それにはデザインもさることながら、製造業を取り巻く様々な課題があると金谷さんはいう。人手不足を解消するロボットの需要はあるけれども、エンジニアが足りないという現状。気候変動やコロナ禍など、様々な要因によるサプライチェーン(供給連鎖)の断絶。ロボットSIerを手掛ける企業に得手不得手があり、専門分野以外のニーズに応えられないという課題。変種変量、カーボンフットプリント※4など、新しいニーズへの対応も含め課題が山積している。
※4 製品のライフサイクルの様々な段階で発生した温室効果ガスの総排出量を集計したもの

それに対しR&Fは、持てる技術を統合し、業種不問で生産活動の自律化、少人数化、再生可能エネルギー活用まで含めワンストップで最適化し、解決へと導く。

「特に中小企業の人材不足は深刻です。私たちがイメージしているのは、人手不足を補うための購入しやすいロボットシステムです。建物に例えると注文建築ではなく建売住宅。オプションがつけられる半製品のロボットシステムなら、納期も短く価格も抑えられます」

工具や材料を自動搬送する24時間完全無人化ライン

工場増設の成立性など最適解を
AIがシミュレーション

専門分野を軽々と飛び越え、自動車・家電・食品・薬品・化粧品など幅広い分野で、多様なDXを実現する工場は、「販売から生産設備まで連動した生産システム」「生産を停止させない工場のネットワークセキュリティ」「カーボンニュートラル※5を実現するエネルギーマネージメント」の3コンセプトで設計されている。
※5 二酸化炭素の排出量と吸収量を同じ量にすること

厳密に室温管理されているQCエリア。品質管理を念入りに行う

特筆すべきは、生産システムにおけるシミュレーションだ。IoTでデータを収集。AIが工場内の機器を統合して見積りから生産ラインをシミュレーション。ワンストップで最適化しシステムを実現する。
「職場にロボットシステムを導入したらこうなりますよということを、図面ではなく3次元でご提案します。お客様もイメージしやすく、『こんなはずじゃなかった』などの行き違いもなくなります」

セキュリティ、カーボンフットプリントなど
持続可能な未来のために貢献

生産を停止させないネットワークセキュリティやカーボンニュートラルも熱い視線を集める。「工場のネットワークは、まだまだもろくて弱いと言われています。私たちは、シーメンス製の最新鋭のシステムを使い、サプライチェーンの強じん化も含め万全の対策を講じています」

カーボンニュートラルについては、加工工場の屋根に240KWhの太陽光発電システムを搭載。自家発電制御システムを導入し、発電量をコントロールすることで、余剰電気を発生させない工夫をするとともに、デマンド管理により、効率の良い電気の使用を実現している。しかも一つひとつの製品に対し、どれだけCO₂を排出したかがわかるカーボンフットプリントを追う仕組みも確立させた。

ほかにもAGV(自動搬送装置)が加工機から出る切り粉を回収し、アルミと鉄に分けて重量を計測し、回収するなど、産業廃棄物も徹底管理している。

最先端の環境でロボットSIer を
体系的に学ぶグローバル人材

また、R&Fでは、ロボットSIerがつくった最先端の環境を教場に、人材育成にも取り組んでいる。
「世界のロボットを出荷台数で見た時に、日本はトップ10に入っています。日本のロボットと生産技術は、世界に誇れる将来性のある仕事です。しかし、需要に対してシステムをつくるエンジニアが全く足りていないのが現状です」

そこでR&Fは、海外からの人材を育成していこうと舵を切ったのだという。「現在、タイやベトナムなどから高度人材を招き入れ育成しています。実際にモノを動かしながら学べるので覚え方が早いです。ロボットSIer を体系的に学べる最先端の工場で優秀なエンジニアを育てて、『ロボットのまち南相馬』というブランドを国内はもとより、世界へ広めていきたいと思っています」

最先端のDX工場を教場に海外からの人材を育成

目指しているのは日本のシリコンバレー
南相馬から世界に羽ばたく

最後に、今も金谷さんを夢中にし続けるロボットの魅力を聞いた。「例えば野菜をつかむという動作があるとします。その動作を自分の考え方、工夫次第で、変えることができます。イメージ通りに動いた時は、うれしいし面白い。もっと深めたくなります。いま工場で学んでいる若者たちを見ていても同じです。やっぱり思った通りにできた時は、笑顔になります。それは、お金に換えられない喜びです」

R&Fは、福島県相双地域をものづくりの一大発信拠点、「日本のシリコンバレー」として地域に根差し、共に発展していくという壮大なビジョンを掲げている。これから福島県立テクノアカデミー浜(南相馬市)で学ぶ学生など、日本人のインターンシップも受け入れていく予定もあるそうだ。日本最先端の技術力と設備を持つ工場で、若者たちが国を越え切磋琢磨し合いながら本気で学び、支え合った若者たちが世界中で活躍する日が今から楽しみでならない。

ロボコム・アンド・エフエイコム株式会社

製造業のDXから生産ラインの開発・実装まで包括的に支援するコンソーシアム「Team Cross FA」の幹事企業の1社。ロボットと周辺機器を一体化し、システム構築の手間を軽減するロボットパッケージ、ロボットの半製品、3Dプリンターでの試作加工、ファクトリー・オートメーション(FA)キットの開発、販売などを行う。見学できる日本最先端のデジタルファクトリー。

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