当機構は、福島イノベーション・コースト構想対象地域15市町村において、新たな農業を目指し、高付加価値・高収益農業の実現や6次化まで含めた広域食糧供給基地の構築を図るため、市町村や関係機関、地域農業者と連携し企業等の農業参入を支援しています。

①農業参入にあたっての福島イノベ機構の支援策(15市町村対象)
・参入相談会、企業参入セミナー、現地見学ツアー、オンライン相談会など
・個別相談対応、県や市町村等関係機関への仲介
・現地案内等の実施
・現地での試作等支援事業
【最近の実績】
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|
参入意向企業のフォローアップ | 14社 | 24社 | 40社 |
現地案内の実施 | 8社 / 13回 | 10社 / 12回 | 10社 / 16回 |
現地見学ツアー |
コロナ禍で中止 |
4社7名 | 6社11名 |
(対象15市町村 : 新地町、相馬市、南相馬市、飯舘村、川俣町、浪江町、葛尾村、田村市、双葉町、大熊町、富岡町、川内村、楢葉町、広野町、いわき市)
②最近の企業参入例
株式会社なかた農園
浪江町と富岡町で長ネギを生産、冬の出荷量アップを実現
社名 | 株式会社なかた農園 |
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業種 | 農業 |
代表 | 中田幸治さん |
所在地 | 福島県郡山市 |
法人設立 | 2015年7月 |
従業員数 | 25名(うち正社員4名) |
資本金 | 1,800万円 |
売上高 | 7,400万円 |
生産科目 | 長ネギ(青ネギ、一本ネギ)、水稲 |
中田幸治さん プロフィール

1976年、郡山市の農家の長男として生まれる。東京農業大学で経営を学び、2005年、29歳のとき家業を承継。当時コメとイチゴだけだった栽培品目を増やし、積極的な販路開拓で生産を拡大。2015年に法人化。
「つくりたいものよりも市場に求められるものをつくる」という理念から、収益性の高い長ネギに着目。現在は、青ネギ・一本ネギの契約栽培を中心とした経営を進める。
ネギ生産のエキスパートが選んだ土地とは

郡山市のなかた農園はネギのエキスパート。年間出荷量約250トンに達する青ネギ・一本ネギは、生食用・加工用として県内はもちろん首都圏や東海にも流通しており、なかでも葉の部分がおいしい青ネギは大手うどんチェーンの刻みネギにも使用されています。しかし、郡山市内だけの栽培では冬期の出荷量が減少するため、冬でも好天に恵まれる浜通り地方に進出、浪江町と富岡町で生産を開始しています。
■ 12市町村における農業参入状況(2023年1月現在)
参入場所 | 浪江町・富岡町 |
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参入年月 | 2022年4月(浪江町)、2023年中予定(富岡町) |
参入規模 | 9ha(浪江町)、3ha(富岡町) |
栽培品目 | 長ネギ(青ネギ、一本ネギ) |
浜通りへ進出して生産量を拡大
郡山では冬場に作物をつくるのが難しいという事情があり、冬でも比較的温暖な場所に農地を探していたところ、ちょうどいいタイミングで浪江町の土地を紹介していただきました。浜通り地方は冬の気候が安定していることがいちばんの理由です。

進出では苦労も経験

最も苦労するのは土地の集約化ですが、浜通り地方ではこの問題が解決されており、それは大きな魅力でした。一方、法人農家に必要な規模の倉庫や選別場の確保が難しく、農地転用など法制度上の手続きが複雑なことが大きなネックになっていると感じます。人材の確保という課題もあります。
今後の計画
2025年までに浪江町・富岡町あわせて長ネギの作付け面積を18haまで増やす計画です。これはネギ農家とすれば大きい方だと思いますが、12市町村全体で22,000haの休耕地があることを考えれば、土地の有効活用という意味ではまだわずかなもの。将来はネギ以外にも土地面積を生かせるような作物(牧草や大豆、麦など)を作りたいと考えています。

なかた農園の取り組み

農業とは得た技術をお金に換える産業です。いまの国際情勢下、輸入に頼る肥料のコストが上がっていますが、未利用の資源を活用して代替の資源を活用して代替の肥料をつくれないか。たとえば堆肥や鶏糞、竹、酒粕などを使い、工夫して開発していきたいと考えています。
(2023年1月取材)


2022年現地見学ツアー実施 本社:東京都 花生産を実施

(当機構の農業参入支援事業を活用)
③充実した参入支援制度
企業の農業参入を支援する制度があります。お問合せください。
被災地域農業復興総合支援事業
(福島再生加速化交付金)
- ・原子力災害により被災した地域において、市町村が被災農業者等への貸与を目的に農業用施設の整備及び農業用機械の導入を総合的に支援し、地域の意欲ある多様な経営体の育成・確保及び早期の営農再開を図る。
- ・補助対象額の3/4を助成する
原子力被災12市町村農業者支援事業
- ・原子力被災12市町村(*)において、営農再開を行う場合に必要な農業用機械、施設、家畜等の導入を支援する
- ・最大1,000万円に対して3/4以内を助成する(市町村が認める場合3,000万円まで対応可能)
*田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村
福島県営農再開支援事業
- ・避難区域等で営農再開に必要な農業用機械や施設のリース導入を支援する
- ・補助対象額の1/2以内を助成する
ふくしま産業復興雇用支援助成金
・被災求職者等の雇用に関わる費用を、県指定の産業政策と一体となって、最長3年間助成する
令和5年度以降の実施については現在調整中です
- – 雇入費:1人あたり3年間で最大225万円(新規雇用・フルタイム労働者)
- – 住宅支援費:1事業所あたり3年間で最大720万円
雇用就農資金(雇用就農者育成・独立支援タイプ)
・農業法人等が就農希望者を新たに正社員として雇用し、就農希望者に対し実施する研修に対して最長4年間60万円/年を助成する
福島復興再生特別措置法及び東日本大震災復興特別区域法に係る課税の特例
- ・避難対象雇用者等を雇用した場合、給与支給額の一定の割合を法人税(所得税)から税額控除
- ・機械・装置、建物等の投資に係る法人税(所得税)の特別償却または税額控除
- ・復興推進計画(ふくしま産業復興投資促進特区)の特定復興産業集積区域内で新規立地新設企業の法人税を実質5年間免除(復興特区法のみ)
※上記よりいずれか1つを選択 - ・事業税、不動産取得税、固定資産税の課税免除等
経営体育成強化資金(日本政策金融公庫)
- ・5年以内に認定農業者となる計画を有する農業を営む法人で、「経営改善資金計画」の認定(市町村)を受けたものに対して、
(※農業近代化資金では対応が困難な場合に限る) - ・農地や施設の取得等に係る資金を企業参入法人の場合、最大1億5千万円を融資する
農業近代化資金
- ・原則として5年以内に、認定農業者となる計画を有する農業を営む法人(経営開始後決算を2期終えていないものに限る)で、「経営改善資金計画」の認定(市町村)を受けたものに対して、施設の取得等に係る資金を企業参入法人の場合、最大1億5千万円を融資する
農商工連携、6次産業化を支援する制度
- ・ふくしま産業応援ファンド事業(福島県産業振興センター)
- ・地域産業6次化ステップアップ強化事業、ふくしま農山漁村発イノベーションサポートセンター(ふくしま地域産業6次化サポートセンター)(福島県農林企画課)
- ・農業改良資金(日本政策金融公庫)
④これまでのイノベ機構の取組
農業参入現地見学ツアー
農業参入に興味を持つ事業者に対して、浜通り地域の現状をツアー形式で案内するとともに、参入する際のサポート体制を説明することで、浜通り地域への農業参入を促進。
2022年度 開催実績
2021年度 開催実績
2020年度 開催実績
〇令和2年度福島イノベーション・コースト農業参入現地見学ツアー(コロナ禍で中止)
2019年度 開催実績
農業参入セミナー・相談会
原子力災害と津波被害を受けた浜通り地域への、企業等による農業への参入や農業法人等による新たな地域への参入などを促進し、地域農業の活性化に資することを目的とし開催。
2022年度 開催実績
2021年度 開催実績
農業参入相談会
農業参入に関心のある企業等を対象に、農業参入における現状や今後の課題等についての相談会を開催。
2022年度 開催実績
2021年度 開催実績
2020年度 開催実績
浜通り地域等15市町村農業分野企業誘致研修会
浜通り地域等において農業参入を見込む企業と市町村や地域との調整を促進するため、浜通り地域等15市町村を対象として企業参入のポイントや受入れ側の役割等について研修会を開催。
2022年度 開催実績
2021年度 開催実績
2020年度 開催実績
2019年度 開催実績
先端農林水産業体験フェア
先端技術や新たな農林水産業の情報等を得られる体験型展示会を開催し、浜通り地域等での農林水産業の成長産業化を推進。
2021年度 開催実績
2020年度 開催実績
2019年度 開催実績
2018年度 開催実績
お申込み・お問い合わせ、オンライン相談の連絡先
公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構
産業集積部 企業立地・農業参入支援課
TEL. 024-581-6880
MAIL. nougyo_sannyu@fipo.or.jp