「伝承館語り部と徒歩で巡る特別フィールドワーク」初開催しました

当館の建つ双葉町中野地区が地元の語り部、高倉さんが案内役です。高倉さんは震災当時、近所の方を避難させましたが、ご自宅を含め49世帯が津波で流出。多くの方が犠牲となりました。ほんの少しの判断やタイミングの差が、生死を分けてしまったといいます。津波被災家屋などを前に当時を振り返り、亡くなった方を想い、時折、声を詰まらせました。「自然災害はいつ起きてもおかしくない。現状を見て、自分事として考えてもらって、減災につなげてもらいたい」

高倉さんの地元・双葉町中野地区も原発事故により約6年間、避難指示が続きました。しかし、津波で流された自宅は賠償の対象にならなかったといいます。高倉さんのご自宅があった場所には現在、大型ホテルが建っています。震災前に約7,100人いた双葉町の人口は現在、200人ほどにとどまっていることに触れ、「複雑な気持ちはあるが、町のにぎわいのためにもぜひ泊まってみてほしい」と呼び掛けました。

被災家屋の他、高倉さんが「何もなくなった中野地区に、よりどころを作りたい。お世話になった人に恩返しがしたい」と再建に尽力した中野八幡神社、国営追悼・祈念施設、海の近くに建てられた双葉町の慰霊碑を巡りました。

高倉さんは「起こしてはならない原発事故が起きてしまった。まちに活気を戻すことや、中間貯蔵施設や廃炉の問題解決に向けて、全国みんなの知恵と力を貸してほしい。きょう自分の目で見て、俺から聴いた話を、周りの人に伝えてほしい」と語りかけました。