【活動報告】令和7年度 「 第1回スタートアップ創出事業スタートアップツアー」を開催しました
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福島イノベ機構では、7月25日(金)~26日(土)、1泊2日で「ロボット・ドローン、廃炉/その他(航空宇宙、農林水産業等)」をテーマとして令和年7度「第1回スタートアップ創出事業スタートアップツアー」を14名の参加者と共に開催いたしました。
イノベ地域固有のすぐれた施設や先行して進出した企業の視察に加え、スタートアップを支援する地域の機関やコミュニティも訪問し、お話を伺うことができました。
参加者から、「イノベ地域が想像以上に事業家を受け入れる土壌として整っており、圧倒されました」「技術・文化など様々な視点で福島のことを学べるイベントだった」「懇親会含めて横のつながりを構築できた」といったお声をいただきました。以下、ツアーの様子を写真とともに簡単にご紹介いたします。
【第1回スタートアップツアーの様子】
(1日目)
■福島ロボットテストフィールド/南相馬市
インフラや災害現場などの実際の使用環境を再現し、世界で類を見ない実証環境を有する福島ロボットテストフィールドについてお話しを伺いました。また、南相馬市役所からは、南相馬市の魅力やスタートアップの支援制度をご説明いただきました。
施設内見学では、1つの研究室のご好意により、中に入り最先端のロボット開発の様子を見ることができました。参加者みんな大興奮で「実際に研究中のロボットを見ることができて良かった」というお声をいただきました。


■株式会社菊池製作所 南相馬工場/南相馬市
南相馬工場では、主力製品であるドローンやマッスルスーツの実機説明を受け、マッスルスーツの試着体験をしました。支援先のベンチャー企業「イームズ・ロボティクス」より、ドローンの開発から試作・評価・量産までを一貫して行える体制もご説明いただきました。ドローン製造には航空法が適用され、製造にあたっては、安全性を確保するため、部品一つひとつについて紙ベースで報告を行う必要があるとの説明がありました。参加者一同驚き「ドローン専用の法整備や市場の拡大はこれからなのだな」という声も上がりました。


■株式会社ぷくぷく醸造/南相馬市
「清酒の酒類製造免許」取得はとても厳しく、輸出限定免許を除けば、戦後の80年間、新規参入としての免許は1件もおりていません。そんな環境を逆手に、クラフト酒に挑み、量産の課題である味を均一にするという鉄則も「味は違っていい!美味しいは正義!」と常に逆転の発想で真摯にクラフト酒に向き合うオーナーのお話しを伺いました。地域の文化を深く学び、土地に根差した酒造りに挑むその姿は、まさにピンチをチャンスに変える実践。「クラフトsakeのパイオニアとしての歩みを詳しく聞けて感動した」「同世代の挑戦に大きな刺激を受けた」と、参加者から多くの感動の声が上がりました。


■Odaka Pioneer Village/南相馬市
コワーキング・宿泊・ものづくりの場を一体化した、地域再生の拠点・小高パイオニアヴィレッジ。震災後、変化するニーズに応え、食事処がなければ近所のお母さんたちと食堂を、スーパーがなければ雇用を生みつつ仮設商店をつくるなど、生活や文化を大切にしながら「地域の100の課題から100のビジネスを創出する」ことをミッションとしています。
参加者より「思いある活動を、経済的にもきちんと成立させているのが印象的」「再起のストーリーに情熱をもらった」と、思いと行動に感動した声が多く聞かれました。


■株式会社haccoba/南相馬市
令和7年7月に農林水産大臣も訪問された、クラフト酒の第一人者である佐藤さんの酒造haccoba(ハッコウバ)。ぷくぷく醸造のオーナーも立上げに参画した酒蔵です。クラフト酒やバタフライピーのコンブチャとともに美味しい夕食を囲み、至る所で話の輪ができていました。
飯舘村で活躍している図図倉庫(ズットソウコ)の矢野さんも飛び入りで、ご参加くださり、楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。


(2日目)
■株式会社ReFruits/大熊町
未曽有の災害を経た地域で、国内最大規模の耕作面積を持つキウイ農家となり、地域の産業として確立させることを目指す原口さんと阿部さんにお話を伺いました。大学と連携した地層分析や、小型ドローンを活用した受粉など、スマート農業の導入にも奮闘中です。阿部さんは東京の企業に就職し、フルリモート勤務を続けながら大熊町でキウイ栽培に従事する、二拠点型・複業型の新しい働き方を体現しています。参加者からも「合理的で論理的、かつ情熱を感じた」「起業と企業就職の二刀流は今後の主流になると思う」「農業の未来を感じた」など熱い声が多数寄せられ、大きな盛り上がりを見せました。


■大熊インキュベーションセンター/大熊町
2022年の避難指示解除で旧・大野小学校をリノベーションした大熊インキュベーションセンター。木の温もりを感じる校舎に最新設備とセキュリティを備えた、スタートアップ支援の拠点です。低料金で使えるコワーキングスペースに加え、頼れる先輩のようなサポートスタッフがスタートアップを手厚く支援。多彩なイベントも頻繁に開かれ、参加者同士のつながりが自然に生まれます。参加者より「起業家精神を育てるイベントが素晴らしい」「支援が手厚く自分もお世話になるかもしれない」という声が聞かれました。


■JAEA ANALYSiS LAB/大熊町
※国立研究開発法人日本原子力研究開発機構福島廃炉安全工学研究所
ALPS装置による汚染水の処理について説明を受け、処理水の放射性物質濃度は国際的な海洋放出基準である1万ベクレル/ℓの100分の1以下で、国内外の通常の放射線レベルとほぼ変わらない安全な数値であることなど、科学的な説明を受けました。また、放射線を実際に目で見ることができる装置もあり、参加者の興味を引いていました。また「専門的な話がわかりやすかった」「処理過程と安全性を初めて具体的に知ることができた」といった感想が寄せられました。


■中間貯蔵事業情報センター/大熊町
中間貯蔵施設の役割や、除染後の土壌の放射線量を震災当時と現在の数値で比較しながら、「今の状況」をわかりやすく伝える情報センターです。参加者からは、「こうした施設の映像は昔のものばかりと思っていたが、地域ごとに映像が随時更新されていて好感が持てた」「現状のリアルな中間貯蔵問題や進捗を確認でき、とても有意義な情報収集になった」といった感想が寄せられました。


■東京電力廃炉資料館/富岡町
参加者全員が真剣な表情で展示を見つめていました。廃炉作業で活躍する最先端のロボットや機器の数々に触れ、原発事故の経緯や現在進行中の廃炉作業について、映像や資料を通して詳細かつ正確に理解することができました。事故の影響や廃炉の難しさをリアルに感じることで、参加者は改めて問題の重大さと自分たちの役割を実感していました。「当時の出来事について初めて学ぶ機会となりよかった」「今までにない解像度で理解することができた」と改めて問題の重大さと現実を知る機会となりました。


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【総括・参加者の声】
今年で3年目のスタートアップツアーとなり、視察先を更に厳選し、じっくり見て感じる時間や対話の時間を増やしました。今回はテック系の参加者が多かったので、ツアーのメインテーマであるロボット・ドローン施設を訪問した時は目が輝いていました。また、それ以外の施設でもイノベ地域の文化やコミュニティに触れ刺激を受けたという声が多く寄せられました。総合満足度は5点満点中、4.95点という数字に表れ、昨年より満足度が向上しました。
【ツアー終了直後の動き】
・ツアー後、この地域で起業したいという方が出てきました。
・今回参加者が次のツアーにお友達を2名誘ってくださり、お申込みいただきました。
一日半と短いツアーでしたが、参加された皆さんからの声の一部を紹介させていただきます。
- 色々な刺激を受けることができるため、他の人にもお勧めしたいと思いました!
- 今後の進路や将来のためにとても有意義で価値のある時間を過ごすことが出来た。
- 技術・文化など様々な視点で福島のことを学べる良い機会だった。
- 参加無料とは思えないほどの濃密な二日間を過ごすことが出来た。
- 大震災という悲劇と、そこからの復興というムーブメントは、日本人として知っておくことがこの先、日本社会を変えたいという想いが芽生えるための材料になると思った。
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【お知らせ】
第2回スタートアップツアー
メインテーマ:航空宇宙、エネルギー・環境・リサイクル/その他:農林水産業等をテーマとして
令和7年10月23日(木) ~10月24日(金)に開催いたします。
現在募集中で令和7年8月31日(日)締切りです。
ご関心のある方は こちらのURL からお申込みくださ。 → https://www.fipo.or.jp/news/37311
【お問い合わせ先】
(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構
産業集積部 事業創出支援課
電話024-581-7045
メール:Startup-tour@fipo.or.jp