【事業レポート】令和8年度 「 スタートアップ創出事業第2回スタートアップツアー」を開催しました
- 産業集積
- 事業レポート
福島イノベ機構では、10月23日(金)~24日(土)の1泊2日で、「航空宇宙、エネルギー・環境・リサイクル/その他分野(農林水産業等)」を視察テーマとした令和8年度「スタートアップ創出事業 第2回スタートアップツアー」を開催しました。イノベ地域ならではの施設や先行進出企業、スタートアップ支援機関などを訪問し、地域の魅力や挑戦について学びました。参加者からは、「多様な現場を効率よく視察でき、事業者の方々と直接対話できる貴重な機会でした。」といった声が寄せられました。
当日の様子を写真とともにご紹介します。
【第2回スタートアップツアーの様子】
(1日目)
■小高パイオニアヴィレッジ/南相馬市
同施設を拠点に事業創出に取り組むOWB株式会社の和田代表は、東日本大震災と原発事故により、約6年間の避難生活を経験しました。お金があっても食料等を手に入れられない状況を通じ、お金だけでは解決できないことや、人とのつながりの大切さを痛感。震災前から続けていたリモートワークの経験も生かし、地域で挑戦する人を支える場づくりに取り組んできました。
「地域の100の課題から100のビジネスを創出する」をミッションに掲げ、今年7月7日には一風堂とタイアップしたラーメン店もオープン。地域の課題を新たな事業へとつなげる和田代表の姿に、参加者からは「立ち上げ段階から現在まで詳細なマイルストーンや意思決定の経緯について学べたから」「苦境の中でも未来の可能性に目を向けるという意識にとても感銘を受けました」といった声が寄せられました。
■FH2R(福島水素エネルギー研究フィールド)/浪江町
「水素によるまちづくり」を掲げる浪江町にある世界最大級の水素製造拠点。浪江町職員の藤田様から、映像やジオラマを交えながら、水素製造の仕組みや町内での実証の取り組みについて、分かりやすくご説明いただきました。
また、FTC採択者のうち、水素関連3社との関わりも紹介され、浪江町によるスタートアップ支援についても理解を深める機会となりました。参加者からは、「水素を製造・貯蔵する現場を実際に見て、取り組みの規模や進捗を知ることができた」「数年後の浪江町が楽しみ」といった声が寄せられました。
■テトラ・アビエーション株式会社/南相馬市
「人々が自由に空中を移動する社会の実現」を目指し、空飛ぶクルマ「eVTOL」の開発に取り組む同社。中井社長から、開発を目指す理由や実現したい未来、そこに向けた事業の展望についてお話しいただきました。
工場見学では、実際の機体や部品を間近に見ながら、開発現場の取り組みや実用化に向けた技術開発について理解を深めました。参加者からは、「空飛ぶクルマが現実になりそうでワクワクした」「夢を実現するための道筋の立て方が参考になった」といった声が寄せられ、次世代モビリティの可能性と、事業化に向けた挑戦を知る機会となりました。
■AstroX(アストロエックス)株式会社/南相馬市
衛星打ち上げロケットの不足を解決し、「誰もが気軽に宇宙を使える未来」の実現を目指すAstroX。同社では、気球でロケットを成層圏まで運び、そこから発射する「ロックーン方式」の開発に取り組んでいます。当日は、エンジニアの猪俣様から、打ち上げの仕組みや同方式の特長について、熱意あふれる説明をいただきました。
施設見学では、実際のロケットを持ち上げたり、成層圏の環境を再現する装置を見学したりと、開発現場ならではの貴重な体験も。参加者からは、「気球でロケットを打ち上げる発想に驚いた」「実物に触れられ、宇宙産業を身近に感じた」といった声が寄せられ、宇宙ビジネスの可能性と、独自の技術で挑戦するスタートアップの姿に触れる機会となりました。
■ジョワイストロナミエ/浪江町
恵比寿で創業50年の名店「ダルブル」の無藤シェフが、浪江の食材のおいしさや新鮮さに惚れ込み、移住してオープンしたフレンチ料理店「ジョワイストロナミエ」。当日は、地元の旬の食材を生かした料理へのこだわりや、地域の皆さんへの思いについてお話しいただきました。
参加者は、当日入荷した旬の地元食材を使った料理を味わいながら、年代やキャリアを超えて交流を深めました。アンケートでは、料理のおいしさに加え、シェフの挑戦する姿勢や「行動する理由は人、お金は行動の糧になる」という言葉が印象に残ったという声も寄せられ、食を通じて地域の魅力と新たな挑戦に触れる機会となりました。
(2日目)
■ノーマ・ホースヴィレッジ/浪江町
相馬の馬事文化を受け継ぎ、人と馬と自然が共生するコミュニティ「驫(ノーマ)の谷」づくりを進めるノーマ・ホースヴィレッジ。避難指示が解除された浪江町室原地区を拠点に、馬との触れ合いを通じた新たな地域づくりに取り組んでいます。
当日は、馬と地域のつながりや今後の取り組みについてお話を伺い、実際に馬と触れ合いながら施設を見学しました。馬ふんを茶室の壁や障子に活用し、将来的には燃料としての利用も目指すなど、地域資源を生かした「循環するつくり」も印象的でした。参加者からは、「地元の人同士のつながりを感じた」「地域の文化や人とのつながりを起点に事業を育てる視点が参考になった」といった声が寄せられ、地域に根差した事業づくりの可能性に触れる機会となりました。
■震災遺構 請戸小学校/浪江町
東日本大震災の津波被害を伝える震災遺構・請戸小学校。津波により校舎の1階部分が大きな被害を受けながらも、児童・教職員全員が無事に高台へ避難した当時の状況を、展示物や説明パネル、映像を通じて学びました。
参加者は、津波の爪痕が残る校舎や当時の記録を熱心に見学し、予定時間を超えて展示に見入る姿も見られました。アンケートでは、「震災の脅威を肌で感じた」「日頃の備えと的確な判断の重要性を実感した」といった声が寄せられ、防災・減災への意識を新たにするとともに、震災の経験を次世代へ伝えることの大切さを考える機会となりました
■株式会社ちーの/浪江町
震災後に営農が途絶えた農地を再生し、農業を成長産業へと変える挑戦を続ける株式会社ちーの。浪江町を拠点に、少人数で広大な農地を管理するための仕組みづくりや、農業DXなどの先端技術を活用した、効率的で持続可能な農業に取り組んでいます。
ツアーでは、ナカヤチ社長から、少人数で広大な農地を管理するための工夫や、農業の新たな可能性についてお話を伺いました。従来の農業の枠にとらわれず、新たな発想と仕組みで地域の課題解決に挑む姿に触れ、参加者からは「福島だからこそできることに気づいた」「地方スタートアップへの理解が深まった」といった声が寄せられました。
また、昨年11月に開催した第3回スタートアップツアーでは、参加をきっかけに、イノベ地域でものづくりに挑戦したいという思いを深め、同社への就職を選んだ参加者もいます。近況を伺うと、「毎日楽しいです」と目を輝かせて話してくれました。ツアーが、地域で挑戦する企業との出会いを生み、新たな一歩を踏み出すきっかけとなったことを実感するエピソードです。
■株式会社エナジア いわき支店/いわき市
東日本大震災を教訓に、地域の特性を生かした自立・分散型エネルギーシステムの構築に取り組む株式会社エナジア。白石社長から、設立以来の取り組みや、エネルギーシステムの開発・導入事例、未来のまちづくりや水素社会に向けた展望について、熱意あふれるお話を伺いました。
施設見学では、太陽光発電や中古EVの車載電池を活用した蓄電システムなどを見学。いわき市との防災協定のもと、災害時には地域の防災拠点として機能する仕組みについても理解を深めました。参加者からは、「災害時に役立つ新しい電気の形を知ることができた」「全体の仕組みが考え抜かれていて素晴らしい」といった声が寄せられ、エネルギーと防災を一体で捉え、地域課題の解決につなげる事業の可能性を学ぶ機会となりました。
―――――――――――――――――――――――――――――――
【総括・参加者の声】
今年で4年目となるスタートアップツアーでは、視察先をさらに厳選し、じっくり見学・体験する時間を増やしました。テック系の参加者も多く、空飛ぶクルマやロケットなどの先端技術、ロボット関連の施設では特に関心が高まりました。また、地域の課題に向き合い、新たな事業に挑戦する方々の熱意に刺激を受けたという声も多く寄せられました。
現地での見学や交流を通じて、イノベ地域での起業や事業展開、地域との連携について、それぞれの立場から具体的に考える機会にもなりました。1泊2日のツアーに参加された皆さんの声を一部ご紹介します。
- みなさん自ら地域を変えていくという熱意を感じ、自分も起業してやるぞ!というモチベーションにつながりました。
- ネット等の発信だけでは熱量は伝わらないので、現地に行くことでしか伝わらない熱量を大切にしたいと思った。
- 空飛ぶクルマ、ロケット、エネルギー研究所など、理系が憧れる技術が詰まったようなツアーで、とても有意義な時間でした。スタートアップという環境も、それに集う人々も魅力的でした。
- 活動している人の意思や考え方などに直接触れられて、こちらも勇気づけられた。この度築けた人脈を駆使してこの地域で起業ができそうだと思えた。
- 地域の課題を新たなビジネスの可能性として捉え、地域の方々と協力しながら事業を展開していくことが重要だと感じた。
- 今後はこの地域の人と関わりながら活かせる仕事をしていきたいと思いました。
- 今行っている事業の中で関われるところを探して行きたいと考えています!
- イノベ地域は様々なチャレンジを受け入れていて、挑戦しやすくチャンスがある場所だと感じました。スタートアップに関わっていきたいです。
- 地域全体がスタートアップや起業に対して協力的で、地域の方々も良い人が沢山いたのでとても良いところだなと感じた。私自身スタートアップや起業に興味があるので今後も福島の情報を追ってみようと考えている。
- 地域再生への強い情熱、そして原発事故のリアルな現状を「現場」で直接体感できた、大変密度の濃いツアーでした。
- 投資先の拠点の候補の一つとして提案できると思いました!
- 今後は、地域の企業や自治体の皆様との情報交換を重ね、実証などの形で関わりを深めていく可能性を前向きに検討していきたいと考えております。
【お問い合わせ先】
(公財)福島イノベーション・コースト構想推進機構
産業集積部 事業創出支援課
電話024-581-7045
メール:startup-tour@fipo.or.jp