阪神・淡路大震災と伝承館の語り部が交流

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災を振り返る伝承館1階エントランスホールでのパネル展開催に合わせ、語り部イベントを14日に開きました。2部構成で、1部は兵庫県淡路市(旧北淡町)生まれで発災当時は生後2か月だった米山未来(こめやま・みく)さんが語り部講話を行いました。2部は当館職員で東日本大震災の語り部を務めている2名との交流トークを実施しました。震災を伝えることの意義や、能登半島地震で感じたことなどを語り合いました。

1部では米山さんが「阪神淡路大震災から29年」と題して語りました。震度7の揺れの後に大規模火災が起きた様子を捉えた映像を流し、「地震は揺れだけではありません。その後の備えを想定することが重要です」と強調。阪神・淡路大震災では火事、東日本大震災では津波や原発事故が起きたことを例に挙げました。

【写真説明】ライブ配信を通じて語り部を行ってきたという米山さん

 

阪神・淡路大震災で亡くなった子どもの目線で描かれた絵本をスライドで映したほか、幼い子を亡くした母親のコメントを紹介しました。教訓として、揺れが起きたら頭を守ることや、たんす等の家具は金具で固定しておくこと、水や食料を数日分備えておくこと、非常用持ち出し袋を1人1個用意すること――の重要性を伝え、「自分の命は自分で守ってほしい」と訴えました。

そのうえで、「『教訓』は命の上に成り立っている。その命を落としたり、ケガを負ったりした人のおかげで備えることができるのだと忘れないでください」と語りかけました。

 

2部で、パネル展の主催者である兵庫県神戸市の「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」の企画ディレクター、平林英二さんが進行役を務め、米山さんと、伝承館職員で語り部の遠藤美来、横山和佳奈が出演しました。

3人は語り部を始めたきっかけや、伝えている内容、今年の1月1日に発生した能登半島地震について感じたことを共有した他、伝承館の2名は遠く離れた神戸から来館され、語り部を披露した米山さんの語り部を聴いて感じたことや感謝の気持ちを伝えました。

遠藤は「米山さんの語り部は分かりやすく、活動の参考になった。いつ地震が起きるか分からないと再認識した。語り部を受講する人に、他人事ではなく、『自分事』として震災を捉えていただけるよう、今後も真剣に伝えていく」と意欲を語りました。

横山は「『災害はいつ起きるか分からないから、備えることが大事』と話しているが、まさか正月に大きな地震が起きると思っていなかった。改めていつ、どこで起きるか分からない災害への備えをして、語り部で防災意識を高められるように話していきたい」と誓っていました。

平林さんは防災に向けて地域のコミュニティ構築の重要性や、震災伝承に従事している人同士がつながり合うことの大切さについて話していました。